通常の手術室よりも高性能のHEPAフィルターで空気中の塵埃や細菌を除去することによって、クリーン度(※)がクラス1000のバイオクリーンルームになっています。
手術室内にはレントゲン・CT・MRIや術中イメージ・3次元術前計画(ZedView)など手術に必要な画像すべてを、PACS (医療画像管理システム) に連動させて、壁面の大型デイスプレイと天井からのモニターアームのデイスプレイに表示します。術中イメージや関節鏡ならびに3次元術前計画(ZedView)の画像を鮮明に映しだせます。
また、手術器具の滅菌を安全かつ的確に行うために、ステラッド(過酸化水素水低温プラズマ滅菌システム)を2台配備しています。
当院では、2004年4月の開設から2023年12月までの約20年間(2014年11月~2015年2月:増改築工事に伴う病棟と手術室の閉鎖期間)に約5,400件の手術を行っています。
全手術の87%が全身麻酔(4,730件)で、そのうち84%が人工関節(2,975件)と脊椎(1,008件)の手術です。
当院では、この「人工関節」と「脊椎」の手術が多く、県内外からたくさんの患者様が手術を受けに来られます。特に人工股関節の手術件数は、北陸3県地区で毎年3位以内の実績があります。
人工関節 置換術 | 脊椎手術 | 他の手術 | 手術総数 | |
---|---|---|---|---|
total | 2,975 | 1,008 | 1,459 | 5,442 |
2023年 | 233 | 52 | 90 | 375 |
2022年 | 211 | 63 | 82 | 356 |
2021年 | 166 | 63 | 101 | 330 |
2020年 | 187 | 67 | 61 | 315 |
2019年 | 151 | 61 | 65 | 277 |
2018年 | 118 | 66 | 48 | 232 |
2017年 | 128 | 67 | 50 | 245 |
2016年 | 124 | 57 | 69 | 250 |
2015年※ | 98 | 53 | 36 | 187 |
2014年※ | 111 | 50 | 37 | 198 |
2013年 | 121 | 44 | 89 | 254 |
2012年 | 153 | 47 | 83 | 283 |
2011年 | 128 | 55 | 104 | 287 |
2010年 | 163 | 59 | 106 | 328 |
2009年 | 148 | 41 | 91 | 280 |
2008年 | 157 | 58 | 69 | 284 |
2007年 | 166 | 60 | 84 | 310 |
2006年 | 162 | 33 | 66 | 261 |
2005年 | 152 | 7 | 76 | 235 |
2004年 | 98 | 5 | 52 | 155 |
※2014年11月~2015年2月:手術室と病棟の改修工事
通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行って実施します。しかし、臨床研究のうち、患者様への侵襲や介入がなく、診療情報等の情報のみを用いる研究などについては、国が定めた指針「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づき、対象となる患者様お一人ずつから直接同意を得る必要はありません。研究に関する情報を公開し、さらに拒否の機会を保障するようにしております。このような手法を「オプトアウト」と言います。
当院でオプトアウトを行っている臨床研究は下記の通りです。研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。
股関節の持続性の痛みをきたす原因として、以下の3つの代表的疾患が考えられます。
いずれの疾患も、まず薬物やリハビリテーションなどの保存的治療や生活指導が基本です。しかし、それらの治療でも疼痛が改善されず機能的に日常生活に支障をきたす場合には、手術治療があります。その手術の中で、股関節を切除して人工の金属を挿入するという人工股関節置換術(THA)が代表的ですが、当院では、 と に対しては、状況に応じて人工関節を入れずに(関節を温存して)、症状の改善が期待できる手術(骨切り術)も行っています。
変形性股関節症は、股関節の軟骨が徐々にすり減って骨や関節が変形する疾患で、成人の股関節疾患でもっとも多い病気です。我が国では、先天性股関節脱臼や寛骨臼形成不全(骨盤側の屋根の形成が悪い病気)に起因するものがほとんどです。
変形性股関節症のX線病期分類
本症は軟骨のすり減り具合に応じて、レントゲン画像において前・初期・進行期・末期の病期分類に分けられます。軟骨が広範囲に消失している末期には人工股関節置換術が適応となりますが、前・初期のように軟骨がほとんどすり減っていない時期には、寛骨臼回転骨切り術(RAO:Rotational Acetabular Osteotomy)が有効です。
当院ではこれまでに68例(2024年10月末現在)のRAOを行っています。
RAOは、臼蓋を球状にくりぬくように骨盤の骨切りを行い、臼蓋を回転移動させ、大腿骨頭を被覆させる手術です。術後2週頃より部分荷重を開始し、術後約2か月で1本杖で退院します。本手術は、変形性股関節症の進行を阻止もしくは遅らせる効果があります。
左:寛骨臼形成不全症(手術前)と右:寛骨臼回転骨切り術(RAO)後
大腿骨頭壊死は、大腿骨頭を栄養する血行が障害され、骨頭が壊死を起こす疾患です。壊死した骨は弱くなり、体重を支えきれずにつぶれてしまい(圧潰)、強い痛みが出現します。骨折や脱臼など原因がはっきりしている続発性と原因のわからない特発性に分けられ、特発性の中ではステロイド剤をたくさん投与された方やアルコールを多飲された方に起こりやすいといわれています。
有効な保存的治療はなく、年齢・壊死の部位・大きさ・骨頭圧潰の程度に応じて、手術治療を決定します。若い方で、壊死範囲が小さく、骨頭圧潰の少ない場合は、大腿骨頭回転骨切り術(Transtrochanteric Rotational Osteotomy)が有効です。
本術式は、大腿骨頚部で骨切りして骨頭を回転させることによって、壊死範囲を荷重のかからない部位に移動させて健常な骨で支えるようにする手術です。壊死範囲が大きい場合や骨頭が陥没変形している場合には人工股関節置換術が適応となります。
大腿骨頭壊死(手術前)
術前MR
大腿骨頭回転骨切り術後
膝関節の持続性の痛みをきたす原因として、外傷以外の疾患として、主に以下の3つが考えられます。
いずれの疾患も、まず薬やリハビリテーションなどの保存的治療や生活指導が基本です。しかし、それらの治療でも痛みが改善せず機能的に日常生活に支障をきたす場合には、手術治療があります。
手術では、膝関節を切除して人工の金属を挿入するという人工膝関節置換術(TKA)が代表的ですが、当院では、 と に対しては、状況に応じて人工関節を入れずに(関節を温存して)、症状の改善が期待できる手術(高位脛骨骨切り術)も行っています。
脚の形を、O脚からX脚ぎみに矯正する手術で、内側に偏っている過重ストレスを、自分の骨を切って角度を少し変えることで、反対の外側に移動させます。痛みがとれるだけでなく、自分の関節を残した(温存した)まま機能を維持するため、正座が引き続き可能であったり、スポーツや農業などの仕事に復帰しやすくなります。また、変形性膝関節症の進行を遅らせます。
すなわち、変形性膝関節症の多くは、股関節から足の甲までを一直線に結ぶ「荷重線」が下図のように膝の内側を通るので、この「荷重線」を膝の中心に近づけるように脛骨の一部を切って外側に移動させます。
HTO前後のレントゲン